
●そもそもヒアルロン酸とは?
ヒアルロン酸は元々肌にある物質であり、それを注入剤としてつくられた製剤です。
そのため、ヒアルロン酸は大まかに言えばfillerと呼ばれます。
fillerとは注入剤のことです。
注入することによってボリュームを出してほうれい線や口角のしわをうめて消したり、鼻やアゴに注入して鼻を高くしたり、アゴをシャープにしたりして形成します。
なお、ヒアルロン酸製剤の種類は国内だけでも数十種類もあります。
●ヒアルロン酸注入のダウンタイム
注射ですので腫れや内出血のリスクがあります。
ただ、腫れは直後から全然気にならないことがほとんどでしょうが完全になじむまでには1週間程度かかります。
また、製剤にもよりますが1〜2週間程度経過するとボリュームが10%程度減ります。
なお、内出血はある一定の割合で起きてしまいます。
ただ、内出血が起きてしまってもごく小範囲であり1〜2週間で必ず吸収されていきます。
また、内出血はマイクロカニューレという鈍針を使用することによってリスクを下げることが可能です。(※)
口角の場合安全性の観点からもマイクロカニューレは使用した方が良いでしょう。
直後からメイクも可能です。
そのため、当日に予定があっても基本的には問題ない処置であると言えます。
(※)通常の針の先端は先が尖っていて鋭いです。
そのため、血管に刺さってしまうと内出血しやすいですし大きな内出血が起きてしまうこともあります。
しかし、マイクロカニューレは針の先端が丸くなっています。
鈍針と言います。
そのため、血管に刺さったり内出血するリスクが極めて低いと言えます。またヒアルロン酸による血流障害などのリスクを減らすことができるためヒアルロン酸注入に関してマイクロカニューレを使用されることはオススメです。
●クレヴィエルの7つの特徴
① 世界初!鼻・アゴ専用のヒアルロン酸製剤
レスチレンなど、従来のヒアルロン酸製剤はヨーロッパで開発されたものが多くそのコンセプトはほうれい線などのシワの改善や頬などのボリューム アップを目的としていました。
そのため、主に東洋人特有の ニーズである鼻を高くしたり、アゴの形成には不向きと言えました。
このことから、鼻に繰り替えし注入すると、横に広 がる「アバタ―顔」になってしまうというリスクを今まで抱えていました。
しかし、クレヴィエルは、鼻・アゴに特化した専用のヒアルロン酸製剤であり横に広がらず、形を維持することが可能です。
そのため、仕上がりとしては非常にシャープな仕上がりが可能です。
ヒアルロン酸製剤でありながらレディエッセの仕上がりに近いです。
② 世界一!高濃度・高密度のヒアルロン酸。
クレヴィエルは高濃度・高密度(50mg/ml)です。
従来のヒアルロン酸製剤の濃度がだいたい20~25mg/mlと考えると
2~2.5倍の濃度です。
形をキープしやすく持続期間も長いです。
③ 腫れにくい!
ヒアルロン酸注入後に水分をひっぱってきて、注入部が腫れてしまうことが従来のヒアルロン酸製剤だとある程度あります。
しかし、クレヴィエルは吸水性が低く注入後に腫れにくいというデータがあります。
④ 安全性が高い。
ヒアルロン酸は体内にもある物質なので安全です。
ただ、通常はすぐに分解されてなくなってしまいます。
そのため、注入用のヒアルロン酸製剤には架橋剤といって化学物質が添加されて分解されにくくしています。
この架橋剤が少なければ少ないほどアレルギーが少なく安全です。
クレヴィエルは従来のヒアルロン酸製剤と比べてこの架橋剤の量がとても少なく純度が高いヒアルロン酸製剤で安全性が高いです。
日本においては4万本を超える実績でアレルギー反応など起きていないと言われています。
このアレルギー反応が少ないという点は古くからあるヒアルロン酸製剤であるマクロレーン(VRF20,30)などとは大きく異なる点です。
⑤ 持続期間が長い(12〜24ヶ月)
従来のヒアルロン酸製剤は持続期間が4〜6ヶ月程度のタイプが多かったです。
しかし、クレヴィエルは持続期間が12〜24ヶ月(18ヶ月程度)と言われています。
レスチレンの約3倍、パーレーンの約2倍の持続期間ですね。
非常に長持ちするタイプの製剤です。
⑥ 最新のテクノロジー・技術で製造されている
世界でもっとも使用されているヒアルロン酸製剤である
「レスチレン」は1995年製造です。
FDA承認・厚生労働省承認のヒアルロン酸製剤である
「ジュビダーム」は2000年製造です。
しかし、クレヴィエルが発売されたのは2014年でありとても新しい製剤です。
(日本発売は2015年)
従来のヒアルロン酸と比較して最新の技術で製造された高品質な製剤ということが分かります。
⑦ ヒアルロン酸溶解剤で溶かしやすい
クレヴィエルは高濃度のヒアルロン酸製剤ですが、ヒアルロン酸溶解剤(ヒアルロニダーゼ)ですぐに溶けます。
これはおそらく架橋剤の量が少ないことに関係していると考えられます。
長期持続のヒアルロン酸製剤でありながら簡単に溶かすことができるというのは大きな利点ですね。
●クレヴィエルの注意点
クレヴィエルは基本的に鼻・アゴ専用。
基本的にクレヴィエルは鼻・アゴ・額に専用のヒアルロン酸製剤となります。
そのため、クレヴィエルは例えばほうれい線・涙袋・額などには適していません。
ほうれい線・涙袋・額・こめかみ・頬骨・頬には他のヒアルロン酸製剤が適しています。
●クレヴィエルの製造工場に関して
クレヴィエルの親会社は韓国ナンバーワンの化粧品メーカーのアモーレパシフィック社です。
アモーレパシフィック社はアジア市場でもナンバー2の市場規模を誇っている企業です。
●クレヴィエルの工場には5つの特徴があることが分かりました。
1 外部からの空気を入れない構造
工場に入るまでの扉が複数あって、工場内部が陰圧管理されていました。
そのため、外部から空気が入ることはありません。
2 チリすらない環境
清潔・クリーンな環境でチリすらありません。
壁の隅も丸くなっていてチリがたまらない構造にもなっています。
また、24時間空気中の粒子はモニタリングされているそうです。
3 人数を制限
工場内はとてもクリーンな環境であり一番クリーンでないのは人間です。
そのため、工場内に入れる人数は10人と限定されています。
さらに、工場内のクレヴィエルの製剤に直接関わることができるのは選び抜かれたエリートの数人のみだそうです。
4 製剤の取り扱いはさらにクリーンな環境
工場内部から、直接クレヴィエル製造を取り扱うエリアへはさらに奥であり隔離されているエリアでした。
クリーンな環境として徹底されています。
5 最後は目視で最終チェックもあり
クレヴィエルの完成品は最後人の目で目視で最終チェックがあります。
そのため、少しでも気泡が入っていれば廃棄となります。
(通常、臨床上は気泡が入っていても基本的に問題ありませんが。)
その気泡が入っている確率ですら1万分の1以下ということなのでかなり精密に製造されているということが分かります。
(また、この最終チェックの工程がないヒアルロン酸製造工場が多いそうです。)
●まとめ
クレヴィエルコントアは従来のヒアルロン酸よりもシャープな仕上がりを可能にした製剤です。
仕上がりだけでなく、安全性・持続期間も長く鼻・アゴ・額に極めて適していると言えるでしょう。
そのため、鼻・アゴ・額形成でヒアルロン酸注入を考えている方にはオススメのヒアルロン酸製剤と言えます。
【参考資料】
1)Choi WJ et al:The Efficacy and Safety of Lidocaine-Containing Hyaluronic Acid Dermal Filler for Treatment of Nasolabial Folds: A Multicenter, Randomized Clinical Study.
Aesthetic Plast Surg. 2015 Dec;39(6):953-62. doi: 10.1007/s00266-015-0571-z. Epub 2015 Oct 22.